今回は人間関係から起こる相続争いを解説します。
人間関係が悪いと泥沼の相続争いになっていきます。どのようなことが争いを生むのでしょう!
人間関係から起こる相続争い
1.親族人間の愛情の差異
① 本人から見て本人を取り巻く親族への愛情は、妻、子、両親、兄弟姉妹と順次に
浅くなってきます。
② ある弁護士曰く、「夫の家族の愛情度合いを数値でいうならば、妻への愛情を500とした場合、親は200、子は300、兄弟姉妹は16との考える」と言っておりました。自分の子に対する愛情値が300であるのに対して、自分の兄弟姉妹に対する愛情値は16です。弁護士の勝手な数値ですが、自分の子と自分の兄弟姉妹では愛情の認識に大きな違いがあります。
親は子に対して高い愛情を持っていますが、子供同士は親が思うほどの互いの愛情は大きくないといえます。
2.財産の有無による差異
① 財産がないとお互いに助け合う精神が芽生えます。しかし、互いに財産ができると他の助けが不要となり、必然的に相互扶助の精神が薄くなります。
3.血の繋がりでの差異
①先妻の子と幼年期から一緒に過ごした後妻とは、互いに愛情を持っています。先妻の子が大きくなって夫が歳を重ねてから迎えた後妻は、夫の老後をともに歩む仲間という性格を持っています。先妻の子が後妻の存在を認めないと、両者に精神的な溝が生まれ、相続争いの火種となります。
②両者は妻としては同じ位置ですが、質が違います。民法が妻となった経過を考慮せず、杓子定規に法定相続分を定めているところに相続争いの火種が宿ります。
4.介護をする子の妻に財産を相続させる仕組が必要
①日本は長男の妻が長男の両親を介護するのは当たり前とする慣習があります。長男の両親も、長男の妻が長男の両親を介護するのは当たり前と考えています。
②その妻には相続権がなく、介護をするが財産はもらえないという事で、いずれ介護の負担に不満が芽生えます。さりとて、両親が長男の妻に対して介護の謝礼を払うのは日本では馴染めません。
③介護をした長男の妻を養子縁組するとか、貢献の度合いを考慮した寄与分の財産分割が必要です。介護をした長男の妻に分割協議書で相続財産を分け与えた事例もありますが、遺産が多額ですと贈与税がかかります。
5.家族の人間関係
①親と同居していた子と非同居の子
親との同居は精神的な負担が大きいものです。非同居の子には分からないようです。非同居の子は同居した子が親の家に住むことで親からの援助があるとか、家賃がかからないとかいってうらやましく思うようです。
②親の介護をした子としない子
親の介護は精神的、肉体的負担が大きいものですが、介護しない者には理解できないようです。
③親の再婚がらみや妾の子
先妻の子と後妻とその子、嫡出子と非嫡出子などの複雑な人間関係には争いが起こりやすいといえます。先妻の子は後妻の法定相続分による分割に納得しないことがあります。
④夫に先立たれた長男の妻が長男の父母と同居し、義理の父母の死を見届けた場合の相続
亡き夫の父母と同居すると必然的に義父母の世話をせざるを得ません。この義父母の相続権は長男の妻にはありません。また、長男の妻が姑や小姑と仲たがいすると争いになります。
⑤兄弟姉妹のわだかまり
兄弟姉妹の成長過程で親の愛情の差異による「不満」や、相手が「認めない」というわだかまり、日々の人間関係の悪化を修復してないことから生ずる「ねたみ」「ひがみ」が「怨み」や「憎悪」となって相続争いの原因となる場合が多いといえます。
⑥第三者が口を出す
相続人の配偶者が口を出すことがあります。その配偶者は、他の兄弟姉妹からすれば他人ですが、相続人にとっては身内ですから配偶者の意見を尊重します。また、成長した子供がいれば、子供も口を出す可能性も十分あります。相続人が相続人の家族のアドバイスを受けてガラッと考えが変わってしまうこともあります。
⑦音信不通者がいて、遺産分割がやっかい
音信不通者がいて遺産分割にかかわれず、そのために遺産分割協議ができない場合があります。
⑧お金が必要な相続人がいると争いになる
相続人の中に生活が苦しくてお金が欲しい相続人がいると円満な相続分割ができない場合があります。
⑨二次相続
両親のうち片方だけが亡くなった時は、にらみをきかす一方の親が健在なので争いは起こりにくいが、残された親が亡くなると互いに勝手な主張をして争いになります。これが二次相続の恐ろしさであるといわれています。
人間関係から起こる相続争いを無くし、円満な相続をするのには人間関係が良好でなければなりません。そのためには何をしたらよいでしょう?次回は人間関係を良好にするために何をしたら!?どうしたら!?よいか考えていきましょう!